デザインラボ

色にも色々ありまして

色も言葉もメッセージを伝える道具

色を色々悩むお客様

ホームページのデザイン案が決定して制作が終盤になってきた段階で突然、「色をもっと濃くしてほしい」、「色を変えた案も見たい」といった、ご要望を受けることがよくあります。

よくよく聞いてみると、本番用の原稿も入り、ホームページの完成形が具体的に見えてきたため、こっちの商品より、あっち商品を強調したほうが良いかな、とホームページ以前のビジネス戦略が、明確になってきたからと言うのが要因のようです。

色は他の色との対比で見え方が変わるため、「ここを赤に変更してください。」の一言が、デザイン全体のやり直しになりかねない事態もおこってしまいます。 そういった場合は「それは赤にしてほしいのではなくて、目立たせたいという意味ですね。」とご相談して、デザインを崩さず目立たせる方法をご提案したりする場合もあります。

女性社長さんは悩まない

一方、女性社長さんはこういう雰囲気にしたい!と言うのが明確なので、あまりこういうトラブルが起こることはありません。最初から、女性的な、やわらかい、やさしいといった、伝えたい雰囲気をキーワードでお伝えいただける場合が多いです。女性の場合、「私が伝えたいことを伝えたい」という目的意識が明確だからでしょうか。ご自分が好きな雰囲気が、顧客の期待と合致しているのかといった事まで考えてらしゃる女性社長さんは多いです。

たぶん自社の「ブランドメッセージ」という発想が、女性の感性や商習慣から理解しやすいのかなとおもいます。「ブランディング」とは「他との違いや優位性をメッセージ化しお客様と共有すること」でもあるわけですから。

色は「色」だけではありません

「色」は12色や24色の色鉛筆のような「色」だけではありません。赤、青といった色の名前は「色相」というもの。このほかに「色の3属性」というものがあるのです。

  • 色相(赤、青といったいわゆる色のこと、色合い)
  • 明度(明るい、暗いといった色の明るさのこと)
  • 彩度(渋い、鮮やかといった色の鮮やかさのこと)

この3要素のうち、「明度」と「彩度」を掛け合わせたものを、特に色の調子=「トーン」といいます。実は「色相」と同じぐらいこの「トーン」※が、ホームページの色彩計画を行う上でとても重要なんです。

※参考サイト:PCCSトーン(日本色研)

色数は少ないほうがいい。

伝えたい情報、知りたい情報がすぐに分かるホームページにするためには、情報の整理整頓が必要です。文字や写真だけでなく色もまた情報のひとつ。整理整頓をするということは、できるだけ不要なものは捨てて、必要なものだけにするという事が必要です。

では具体的にはどうやってデザイナーたちは色を選んでいるのか、ちょっとコツを教えますね。

まずは主役となる「色相」を決めます。色相の持つ心理学的イメージや、競合との差別化、自社が伝えたいイメージから選ぶべきです。白い文字をのせて読めるぐらいの濃度の色を選びます。

次に主役に対する「脇役」を、近い色相のトーン違いから2つ選びます。
そのうち1色は、背景色にできるよう薄い色を選んでおいたほうが使いやすいです。

最後に強調色を、主役の反対色(補色)から選ぶ。ただしズバリ補色だと目がチカチカしてしまうことも。その場合によっては主役=強調色として、引き立て約を補色から選ぶ方法もあります。

合計4色。これが基本の選び方です。もちろん脇役の選び方には名前がついた色々な法則がありますが考え方は同じです。ポイントは強調色。なにかと対比しているからこそ目立つわけです。

環境で違って見えてしまう色

ただホームページの場合問題なのは、パソコンの違いにより色の見え方が異なることです。私の場合、自分のパソコンで淡いウグイス色の背景にしたつもりが、お客様のパソコンではピンクになって表示されてしまったという経験があります。少し前のビジネスパソコンでは、デザイナー向けのパソコンより、グラフィック表示用のメモリーが少なく、淡い色の表示があまりできなかったのです。

さすがにいまではここまで極端なことは少なくなってきましたが、またビデオカードのメーカーや液晶パネルの方式によっても色の見え方は違います。さらにモニターは経年変化で少しづつ色が偏ってきます。

そして以外な事実ですが、日本人の場合、男性の20人に1人は何らかの色覚異常をもっていると言われています(欧米人はもっと多い)。

だれでも40歳を超えると、視力とともにコントラストの認識が弱くなるので、色の見え方も変わってきます。実は歳をとるほど、はっきりとした派手な色の組み合わせに引かれるようになるのです。高齢者より若い人のほうが実は地味な色の組み合わせを好む傾向があるという調査結果も出ています。

これからの時代、文字の大きさも当然ながら、色についても最低限のアクセシビリティへの配慮がますます重要になってくるでしょう。

色には心理や文化に基づいたイメージがある

こういった事をすべて配慮しながら、デザイナーは色彩計画を考えている訳ですが、これが答えだと言えるものではありません。そこでひらめきのヒントとなる色見本帳が売られています。

その中でも、統計学的な調査に基づき、言葉のイメージと色の関係を元に色の組み合わせ例をまとめた配色事典があります。「先進的な」「信頼できる」「安心感がある」といったような言葉のイメージと配色をユーザー調査して整理したものです。

人間は赤は血や花の色、緑は木々の色といった自然界の色から、本能的に、危険や情熱、癒しや安心といったイメージをもっています。それが色に対する人々の共通したイメージの元となっています。信号や標識の色はまさにそれに由来して決められたものです。

一方、歴史や文化、風土から生まれた色のイメージ、時代とともに変わっていく色のイメージもあります。海外向けのホームページを作る時は、相手の国の文化からみておかしく感じる色の組み合わせでないかも考慮に入れる必要があります。

「色」もお客様へのメッセージ

「人は見た目が9割という本」が、そのセンセーショナルなタイトルから話題になったことがありました。著者は舞台や漫画の原作家の方で、言葉によるコミュニケーション(バーバルコミュニケーション)より、言葉でないコミュニケーション(ノンバーバルコミュニケーション)の方が、相手への伝達力が強いというお話です。

ホームページで言えば、キャッチコピーや説明文が言葉によるコミュニケーションで、写真やイラストが、言葉に近いけど言葉でないコミュニケーション。色やレイアウトは、雰囲気や重要度を無意識に伝えるコミュニケーション手段ということになります。

ということは、まずは御社のメッセージを言葉にして、それを色に変換できればいいわけですが…どこの会社でも使っていそうな言葉の発想だけでは、キャッチコピーも色も同じようになってしまうことに。例えば、大手都市銀行などは各社コーポレートカラーで差別化しているのに対して、青い色の中小企業ホームページの多いですね。

青は好き嫌いの差があまりなく、無難で使いやすいという理由もあるので、決して悪いわけではありません。他社には負けない自分たちの強みやこだわりをお客様に伝え、数多くの企業の中から選んでもらえるために、意外性のある色をあえて選んでみるというのも、印象を残すための一つの手段かもしれません。

例えば、ローソンが従来の展開では青だったロゴカラーをナチュラルローソンでは店舗のコンセプトである「自然」「女性」のイメージにあった「ボルドー色」にしたように、ビジネス戦略を色を使って消費者にアピールしています。

すなわち、経営方針や顧客へのブランドメッセージを、もう一度見直してみるということ。そして他社とは違う自社独自のメッセージを作り出し、それをまさに会社の「カラー」として伝える。それだけでも、自分たちが他社とちがって何が違うのかが、お客様に伝えられると思うのです。

 
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